数寄屋作り酒田の料亭

「今晩わ」と挨拶し頭を上げるまで

今夜のお客は誰かわからない見番の仕組みになっており、

目の前のお客が好いたお人だとそれはそれは嬉しかったと、

三味線のお師匠さん しずさんからお聞きしたことがあります。

引き違い襖戸の先はお客と芸者さんの密室空間

仲居さんは次の間にお酒と料理を届けるだけで、

御座敷内に入ることはありません。

御座敷のしつらえは御当主が旅で得た

良いとこ取りを元にした創意工夫に溢れたもので、

床柱は変木の組み合わせ 壁仕上げは 荒壁有り 鹿の皮貼り有り

お客を驚かせ 喜ばせる 意図に溢れています。

計画図があり作られるのではなく、

そのときどきの経常利益を元金に御当主とお抱え大工による普請ですから

飛び石の渡りあり 池に鯉泳ぎ 太鼓橋あり 渡り廊下で継ぎ足しの座敷作りです。

三井寺園城寺     書院作りからの数寄屋へくずしてゆく

本流ではありませんが 酒田の数寄屋は

お客と芸者さんとお酒と料理で成り立ちます。

 

ちょいと 粋な なみ姉さんはいつも一人 早足で、

あちらからは ぶんこ姉さんとりょうこ姉さんも

若々しい りきや姉さん 「今日はどちらまで ?」